(1)ゲーム紹介からの続きです。

「アスピック」はカセットテープ1本にプログラム・データが収録されており、ゲームをプレイするにはテープA面のデータを全てロードします。B面にはエンディングのデータが入っており、エンディングを迎える際にはこちらのデータを読みこむようになっています。

 2つのバージョン 

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_01 2本のテープ

実は管理人が譲り受けたアスピックにはテープが2本有ります。譲り受けた方から詳しく話を聞くと、発売されてすぐに購入し、ユーザー登録の葉書をクリスタルソフトに送付しておいた所、クリスタルソフトからバグを修正したバージョンが送られてきたとの事でした。さすがに昔の話なので記憶が不確かですが、購入してから2週間~1ヶ月程度でこのテープが送られてきたようです。一緒にお詫び・送付案内も有っただろうと思うのですが、そちらは残っていないようです。残念。
2013/11/09
送付案内の文書を拝見することが出来たので、新しく記事にしました。


ちなみにバグとはゲーム中盤でワープゾーンに入ると、海の中の孤島に飛ばされ脱出不能になるというものだそうです。

このブログでは当初版・バグ修正版と便宜的に記載します。両方のカセットテープのレーベルは同じで区別できません。カセットテープの天板の録音防止のツメがある真ん中の所に「NEX~」とシリアル番号らしき物があります。唯一の違いはここだと思われるのですが、「アスピック」を持っている他の方のシリアル番号を比較しても、法則性が現状では不明です。もっとサンプルが集まれば何かわかるかもしれません。

左が当初版、右がバグ修正版のカセットテープのA面です。区別が有りません。
[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_02当初版テープA面[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_03バグ修正版テープA面

管理人は両方をエミュレータで遊べるようにイメージ化、バイナリを比較した所、確かに差異が見受けられました。更に他の方のご協力をいただいて、少し解析してもらいました。そこから得られた結論はマスターから製品版を作る際に何か手違いが生じ、発売開始前後に手違いに気付いたので、バグ修正版を送付したのではないかという物です。あくまでも予想であり、事実は違うかもしれません。まあ、真相はわからないままでいいでしょう(笑)たぶん、このバグ修正版がユーザーに送付されると同時に、市場に出回るパッケージのテープも差し替えられたと思われます。

ちなみに同じクリスタルソフトのテキストアドベンチャーゲーム「聖なる剣」も、当初発売された版はバグ有りで、後に修正版になっているのだそうです。(月刊マイコン1983年9月号にお知らせが載っているとの事)そういえば、管理人が所持しているデービーソフトのフラッピーもクリア不可能な面が有り、後から修正されたバージョンが発売されています。人間が作るんだから仕方ない(笑)

 パッケージの違い 

上記の2つのバージョンの話から進展して、更にパッケージにまで違いがあるという事が分かりました。現時点で確認されているパッケージは3種類あります。

(1) 当初版・バグ修正版

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_04パッケージ(1)

当初版及びバグ修正版のパッケージ画像です。一番下の青い部分は帯になっていて、別の紙になっています。両側は貼り付けられています。裏面のゲーム画面は全てPC-6001mkII版の画面ですね。

(2) FM77AV版の追加

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_05パッケージ(2)

FM77AV版(価格6,800円)が1986年11月に発売された時に、差し替わったであろうと思われるパッケージです。表面は変わっていませんが、裏面に変更があります。

・ゲーム画面5つの内の3つがFM77AVの画面に差し替わり、また画面の下に「PC-6001mkII用画面」「FM-77AV用画面」と赤書きされています。

・裏面左側の真ん中辺りに、アスピックの3つの特徴が書かれています。その3番目の項目が、
[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_06パッケージ(1)と(2)の差異
 と変更されています。これは、FM77AV版と共通のパッケージにするに辺り、FM77AV版はディスクからの読み込みであるため、文面を変えたのでしょうかね。

・裏面真ん中の下辺りに「このソフトウェアは、ユーザーのみなさまより寄せられた、数千通のご意見、ご希望を基に設計し製作したプログラムです。」という文面があるのですが、これが(1)と比べると文字の大きさが小さくなっています。

・背表紙の部分、タイトルの下が「by T.KONO」から「by T.KONO & Y.ITAKURA」と変更されています。Y.ITAKURAは板倉由次氏ではないかと予想していますが、確たる証拠は有りません。板倉由次氏はクリスタルソフトで「Mr.プロ野球」を開発などをしていた後、独立して日本クリエイトを立ち上げたという記載があります。
 参考: http://www.amusement-center.com/project/egg/com.html
2013/08/05追記
現時点で私がお伺いした範囲の話を総合すると、板倉由次氏がFM77AV版以降の移植に関わっているのは間違いなさそうです。


(3) X1版の追加

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_07パッケージ3

1987年2月(未確定)にX1用テープ版が発売されています。価格は5,800円。
 参考: X1用テープ版についての記載があるサイト。 http://www2s.biglobe.ne.jp/~ITTO/x1/softrpg.html
ちなみに、2013年7月にヤフオク!にてX1用テープ版が出品されており、オークションページの掲載されている写真から価格を確認しました。発売日まではわかりませんでした。
また、ソフトウェア自動販売機のTAKERUにおいて販売された「アスピック・スペシャル」5インチディスク版の発売日は1987年3月6日です。こちらの価格は4,800円です。こちらは店頭用のデモディスクを入手しました。

このパッケージはたぶんX1テープ版発売開始の頃に差し替わったであろうパッケージです。
(2)と比較するとX1シリーズ用画面として、2箇所がX1版の画面に変わり、3機種の画面が混在するようになりました。あとは(2)と同じ様です。

 取扱説明書の違い 

上記(1)のパッケージと(2)(3)のパッケージでは、取扱説明書にも違いがあります。

(ア)1ページ目

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_08取扱説明書1_中表紙
[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_09取扱説明書3_中表紙
機種の所に「FM-77AV」と追記されています。

(イ)目次

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_10取扱説明書(1)_目次
[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_11取扱説明書(3)_目次
PC-6001mkIIとFM77AVの両方に対応させるために記号を付けています。
また、ページも増えているようです。

(ウ)ストーリー

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_12取扱説明書(1)_ストーリー
[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_13取扱説明書(3)_ストーリー
右側に機種の記号があります。各ページともこんな感じです。
実はもうひとつ気になるのは右下です。(Story:Sumie.T)と追加されています。今まで気づかなかった関係者の方です。

プログラムのロード方法などもFM77AV版が追加されています。

(エ)イラスト集表紙

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_14取扱説明書(1)_イラスト集表紙
[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_15取扱説明書(3)_イラスト集表紙

イラスト集の表紙です。白黒が逆転しています。

比較しているのは管理人が所持しているパッケージ(1)の当初版とパッケージ(3)なのですが、(3)の方にはX1の記載が一切有りません。X1版は取扱説明書が違ってたりするのでしょうか。なお、(2)のパッケージと(3)のパッケージの取扱説明書は同じ内容であるとの事です。

 2013年6月14日追記 X1記載有りマニュアル 

この記事を公開後すぐに、「X1の記載が入っている取扱説明書持ってるよ」と情報をいただきました。許可を頂いて写真を掲載します。パッケージは (3) と同じになりますが、上記のパッケージ(3)との違いは X1版に関する表記が有る事です。つまり、パッケージ(3)には X1の記載が無い物とある物が存在する事になるのでしょうか。

(ア)1ページ目

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_16取扱説明書(4)_表紙

X1の記載が追加されています。また、ページ下にページ数が書かれていますね。

(イ)目次

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_17取扱説明書(4)_目次

目次。X1 の記号が追加。また、当然のことながらロード方法やゲームの遊び方でX1に関する記述が追加されています。掲載はしませんが、プログラムのロード方法やデータセーブのやり方を見ると、X1 の テープ版に関する記述です。

また、前半のページ数も結構変わっています。

(ウ)ストーリー

[RPG]アスピック/(2)ゲーム紹介_18取扱説明書(4)_ストーリー

X1 の記号が追加されている以外は違いは見受けられません。強いて言うとすれば、写真ではくっつけていますが、実際の取扱説明書は見開きでは無い所です。

 まとめ 

このようにパッケージには複数のバージョンが存在します。
 a. 1986年8月7日(初回出荷)版。パッケージ(1)。
    ↓
 b. バグを修正して差し替えたバージョン。パッケージ(1)。 ※初回出荷を購入したユーザーにもテープを送付。
    ↓
 c. FM77AV版発売によるバージョン。パッケージ(2)。取扱説明書にFM77AV版の項目を追加。
    ↓
 d. X1版発売によるバージョン。パッケージ(3)。取扱説明書に変更は無し。
    ↓
 e. X1版発売後(?)のバージョン。パッケージ(3)。取扱説明書にX1テープ版の記載を追加。
    → 2013年6月14日追加

管理人が当時買ったのはたぶんc.以降のパッケージだろうと思います。一番最初のパッケージは出回った数が少ないかもしれません。
1つ疑問を感じるのは d. と e. のパッケージの存在。X1版発売により、マニュアルにもX1の記載が最初から有っていいはずなのですが、記載の無いパッケージ( d. )と記載の有るパッケージ( e. )の2つが現在確認されています。なぜ2つのバージョンが存在するのか。何かしら分かった事があればまた記事に反映させていきたいと思います。

しかし、発売から27年も経ってこんな違いを知る事になるなど露にも思いませんでした。これも資料提供にご協力いただいた皆様やTwitterで私の質問に答えていただいたり、資料を探しに協力してくれた方々のおかげです。

 Special Thanks to
   各種情報をご提供いただいたHashiさん、のりさん、MORIYAさん、ONDAさん。
   その他ご協力いただいた皆様。
   そして、私にアスピックを譲渡いただき当時の事を教えていただいた赤速さん。
   このパッケージがきっかけでブログの記事を書くことが出来ました。お礼を申し上げます。


ここに書かれている情報が全て合っているとは限りません。間違っている可能性も当然ありますので、何なりとご指摘いただければ幸いです。
2013/06/14 21:37
X1テープ版について記載が入ってある取扱説明書について写真等を追加。ありがとうございます。
2013/08/05 01:09
X1版に関しての記載を整理、及び板倉由次氏に関してほんのちょっと追記。あと最後の所もちょっと。
2013/11/09 00:32
バグフィックス版送付と同時に送られた案内文書に関して追記。別記事(3)へ。