今回の記事は、いつもとはちょっと違う趣向です。
「p6games」はNEC PC-6001・PC-6601シリーズ用のゲームについてのブログなので、
ブログの主旨からは外れてしまいますが、たまにこういうの良いのではないかと。
という訳で―――


読書感想文「80年代マイコン大百科」




7月に発売された「80年代マイコン大百科」(総合科学出版・1,680円)を購入して先日読み終わりました。偶然、総合科学出版さんのブログを拝見したら何かキャンペーンをやっていたので応募してみた次第です。
(おかげさまで購入分と頂いた分と手元に2冊(笑))


2013年8月現在、「一家に一台コンピュータ」などと言われた時代はとうに過ぎ、家庭内でも下手すると家族それぞれが自分専用のパソコンを持つ時代になりました。様々な種類のパソコンが販売され、仕事にパソコンを使うのが当たり前になり、学校の授業にも使われています。更には、気軽に電話やメールが出来る携帯電話も爆発的に普及し、アップル社のiPhoneの人気をきっかけとしてタッチパネルで操作するスマートフォンやタブレットへと移行しつつあります。

日本でパソコンが普及した1つのきっかけは1995年12月の「Windows 95」の発売開始です。Windowsが動いていればどのメーカーのパソコンでも同じアプリケーションを動かせるというのは画期的な出来事でした。今では当たり前の事でも、当時は驚きであったのです。


ではその前のコンピュータはどうだったのか。その一端を知ることが出来るのが「80年代マイコン大百科」です。

本書はタイトルに有るように1980年代のパソコン及びパソコン用ゲームについて取り上げています。
当時販売されたいろんなメーカーのパソコンやゲーム、また当時を彩った著名人について、メーカーが配布していたカタログや当時存在していた雑誌の広告を中心に紹介しています。


パソコン、パソコンって言ってるけど、タイトルはマイコンだけど?

試しにWikipediaでも開いてみると、「マイコン」という言葉には複数の意味が有るのを見てとれます。「マイクロコンピュータの略語」「マイクロコントローラの略」など。いくつか有りますが、ここで一番近いのは「マイ・コンピュータ」の意味で「個人が所有できるコンピュータ」です。

1970年代から家庭でも扱う事の出来るコンピュータ(NECのTK-80、シャープのMZ-40K等)が少しずつ普及し始め、海外の影響も受けつつ、日本の家電メーカーもキーボードが付いた一体型のコンピュータを販売し始めます。これらに互換性はあまり無く、例えばシャープ製のパソコン用ソフトをソニー製のパソコンで動かすことなど、大変難しい事でした。各社が時流に乗ろうとして独自仕様のパソコンをリリース、結果的に百花繚乱となった時代です。

また、パソコンを使うことでいろいろな事が出来そうだと理解されるようになってきた時代でもあり、実務に耐えられる機種が出る一方、子供向け・教育用・ホビー向けと謳われた低価格の機種も発売されます。当ブログで取り扱っている NEC PC-6001・PC-6601シリーズもここに含まれます。

これらパソコンを活用するためにたくさんのメーカーからソフトが発売されました。その中でも一番数多く発売されたのはゲームソフトでは無いでしょうか。ちなみに、1983年は任天堂のゲーム専用機であるファミリーコンピュータが発売された年でもあります。

この人気を受けて、各種パソコン雑誌も次々と創刊されました。人気ゲームを取り上げて特集を組んだり、ゲームのプログラムを掲載したりしていました。当時の青少年(管理人含む)は新しい情報を得たいがためにこぞってこれらを購入していたのです。

本書は1980年から1989年にかけての、一つのブームであったとも言える当時の事情について取り上げています。ハード・雑誌・ゲームメーカー・人物はたまた当時のアダルトゲームに至るまで網羅していて、掲載している写真を眺めるだけでも、リアルタイムで知る世代には懐かしく感じる事でしょう。ベーマガ読者だった管理人なんぞは『特別企画「日立Hシリーズ広告、あるだけ見せます!」』なんていうコーナーはよだれ物です。

単行本サイズで約180ページの本書ですが、よく凝縮したなという感じで、これだけの資料を集めるだけでも大変だったろうなぁと思います。雑誌広告・カタログといった面から80年代のパソコンゲーム事情を俯瞰する・懐かしむといったスタンスで行けば十分な本であると思いますし、「30年前はこんな感じだった」というのを知る一助としてもこういう本が市販されるのは意義が有ると思います。

一方、著者が「おわりに」でも指摘しているように管理人の目から見ても、掲載して欲しい人物やメーカーが他にも有るだけに少し残念な部分も有ります。例えば、電波新聞社(マイコンソフト)の松島徹氏や、「ハイドライド」シリーズの内藤時浩氏、メーカーで言うとスタークラフトなどの名前が有りません。著者も資料がまた集まれば続編制作を考えているようなので、期待したいところです。

いずれにしても、こういった本が世に出て読者が当時の歴史を見つめるきっかけになるというのは、レトロPC好きの端くれとして嬉しい所です。