[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_01ジャケット表面[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_02タイトル画面

 T&E SOFTが初めてリリースしたロールプレイングゲーム(以下、RPGと略す)です。T&E SOFTは元々PC-6001向けに小粒なゲームをいろいろとリリースしていました。その後、ゴルフゲーム「3-D GOLF SIMULATION」のヒット、そしてアドベンチャーゲーム「スターアーサー伝説 惑星メフィウス」の大ヒットで一流ゲームメーカーへと躍進したメーカーです。それらに続いて「ハイドライド」は世に送り出されました。そして、T&E SOFTの地位を揺るぎない物にした怪物ソフトです。

開発: T&E SOFT
販売: T&E SOFT
発売年: 1985年3月8日(と思われる)
定価: mkII以降用テープ版 4,800円 /
   6601用3.5インチ1D版・6601SR用3.5インチ1DD版 各6,800円
メディア: カセットテープ 1本組 / ディスク 1枚組
付属品: 取り扱い説明書・メンテナンスカード

 「ハイドライド」は現在の視点から見ると、「アクションロールプレイングゲーム」というジャンルに属します。いや、このジャンルその物が現在存在するのか怪しい気もしますが、当時としては成立していたジャンルでした。まず「ハイドライド」が出る前のRPGを少しだけ振り返ってみることにします。

 コンピュータRPGの礎を築いたと言って過言ではない「Ultima」「Wizardry」シリーズが日本に紹介され、また日本国産のゲームとしては、B.P.Sの「The BLACK ONYX」(1984年1月発売)やクリスタルソフトの「夢幻の心臓」(同年1~4月の時期に発売)がヒットしていました。

 1984年7月にナムコがアーケードゲーム「ドルアーガの塔」を世に送り出します。敵モンスターと交差するだけで戦闘を行うというアクションゲームの要素を持ちながら、ある決められた行動を取るとアイテムが出現して強くなれるというのは画期的でした。また、そのアイテムの出現方法が一切ゲーム中では触れられない為、出現方法を自分の物にしようとするゲーマーが増える事になります。敵と戦って経験値を増やし、ある程度溜まったらレベルアップするというオーソドックスなRPGの要件はありませんが、RPG的なゲームとして受け入れられたのです。

 コンピュータRPGの世界でも、日本ファルコムが1984年9月に「Dragon Slayer」を「ニュータイプ・リアルタイム・RPG」として売りだしています。日本ファルコムは以前に「ぱのらま島」というRPGを出していましたが、もっと快適にプレイできるようにと、マシン語を使用してプログラムの高速化を図りました。「Dragon Slayer」のプログラマは木屋善夫氏です。HitPoint・Strengthなどのパラメータを持ち、経験値が貯まるとこれらのパラメータが上がる成長要素を備えていました。

 同年11月にコスモス・コンピュータが「カレイジアス・ペルセウス」をリリースします。「Dragon Slayer」もそうですが、リアルタイムに動いている敵に体当りして攻撃するアクションRPGです。ギリシャ神話をモチーフとしており、戦える敵を探して倒していく(逆に強い敵はどれだけ攻撃しても倒すことが出来ない)ゲームでした。しかし、結果的にはマイナーなゲームとして終わってしまいます。

 そして、12月にT&E SOFTから「ハイドライド」がリリースされました。T&E SOFTはこれを「Active Role Playing Game」として売り出しています。察するに、「アクティブ」とすることで「アクション」との差別化を図ったのでは無いか、と想像していますが判りません。トップビューの画面に美麗なグラフィックが描かれ、(当時としては)高度な重ね合わせ処理を実現し、画面が瞬時に表示される等と宣伝されました。結果的に爆発的ヒットとなり、多数の機種向けにリリースされ、1986年3月にはファミリーコンピュータ用に「ハイドライド・スペシャル」としてリリースされるまでになります。

ゲーム画面や特徴がいろいろと記載されているパッケージ裏面。
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_03ジャケット裏面

 1984年12月13日にPC-8801版がリリース、その後翌年1月にX1版がリリースされ、3番目にP6版がリリースされたようです。開発はPC-8801版と同じ内藤時浩氏。PC-8801版と比べると、機種の制約上グラフィックは劣りますが、逆にジョイスティック対応・BGM同時進行というPC-8801版には無い要素も有ります。

ログイン1985年4月号より。
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_03ログイン1985年4月号広告

 P6版の説明書には内藤時浩氏による開発後記が有ります。キャラクターデザインなどに中島健二氏の多大な協力を仰いだこと、移植作業にもの凄く苦労したこと、88版と比較してアドベンチャー的な要素の部分が若干変更されているとあります。確かに、PC-8801版と比べると、謎解きの部分で変更されている所が有ります。また、P6版には88版には出てこないキャラクターが出てきたりもします。また、PC-6601用に3.5インチ1D版、PC-6601SR用に3.5インチ1DD版が同時リリースされています。テープ版との違いはタイトル画面の一枚絵が有ること。1D版と1DD版の内容の違いは無いそうです。

PC-6601SR版のパッケージ(写真提供:ゆみたろさん)
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_04PC-6601SR版パッケージ

PC-6601SR版の3.5インチ1DDディスク(写真提供:ゆみたろさん)
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_05PC-6601SR版ディスク

 具体的なゲーム内容は (2)以降の記事で書いていくとして、去年『[雑記]PC-6001mkII と 私』に書いたように、当時読んでいたマイコンBASICマガジンのT&ESOFTの広告に「PC-6001mkII移植決定!」という文字を見て買うことを決意。お年玉を取っておいて、発売後P6版を速攻で買ってきました。何回クリアしたかわかりません。それだけ思い入れのあるソフトです。
 
 ちなみに、この記事を公開日の翌日(2014年12月13日)は、「ハイドライド」が初めて世に出た日(PC-8801版発売日)から30周年の記念日です。30周年おめでとうございます。

P6版でローダーをロード後にLISTを表示させてみると、クレジットが表示される。
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_07ロード後LIST表示

本体プログラムをロード中。
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_08プログラムロード中

デモ画面。このグラフィックを初めて生で見た時は本当に衝撃でした。
[RPG]ハイドライド/(1)ゲーム紹介_09デモ画面

(取り扱い説明書より)

★HYDLIDEの伝説

 この伝説は、今私達が住んでいる世界とはまったく別の空間での物語です。ここは、妖精の住む王国、フェアリーランド。ここは王様の住んでいる宮殿を中心に広がっている、緑の美しい平和な王国でした。この宮殿には三種類の不思議な宝石が祭られており、その宝石によって王国の平和は保たれていたのです。人間と妖精達はこの世界でお互いに共存し助け合いながら、仲よく暮らしていました。ところがある日、悪心を起こした人間によって宝石の一つが盗まれてしまったのです。数が足りなくなってしまった宝石は、その輝きが鈍くなってしまい、遂に宝石によって封印されていた、神話伝説最強といわれる悪魔バラリスが目覚めてしまったのです。バラリスの魔力によって残りの宝石もいずこかへと飛ばされてしまい平和であったフェアリーランドも崩壊してしまいました。国王のプリンセス、アンもバラリスの魔力によって妖精にされて、いなくなってしまいました。王国を崩壊させたバラリスは、国のあちこちに怪物を放ち,人々の心を恐怖と絶望が支配したのです。この悪魔の悪業に耐えかねた一人の勇敢な若者が、王国の復興を願ってたちあがりました。彼の名はジム。ジムは人々の希望を一身に背負って、たった一人で怪物に挑戦していったのです………。


2015年12月7日 21:36
"T&ESOFT"と記述しておりましたが、"T&E SOFT"とスペースを設けるのが正しいと言う事がわかりましたので、その様に修正しました。