将棋対局

[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza 6.0 と対戦させてみた。

前の記事で紹介させていただいたコムパックの「将棋対局」の記事2本目です。

PC-6001シリーズ用として市販パッケージとして発売された将棋ソフトは「将棋対局」とキャリーラボ「飛車」しか無いようだというのは前の記事で述べた通りです。ではどっちが強いのか?という企画をTinyProjectの同人誌「PC6000NOTE No.2」の誌上で行われた事があり、「飛車」の方に軍配が上がっていました(正確には2回対局して1勝1分)。

興味の有る方はHashiさんのサイトで頒布されていますので購入していただければと思います。

 「P6同人誌コーナー」 http://p6ers.net/hashi/p6dojin.html

どちらのソフトにしてもブログ記事執筆時では30年を経過しようとしているソフトであり、現在では前の記事でも書いたようにコンピュータが遂にプロ棋士を打ち負かした「あから2010」などがあります。当時から「森田将棋」「棋太平」などたくさんの将棋ソフトが出ては消えていきましたが、今や商用のみならずフリーソフトとして公開されている将棋ソフトもあったり、インターネットで他人と対戦できるようになったり、コンピュータ将棋選手権というものが開催されたりしています。

「じゃあ…将棋ソフトの一番最初である『将棋対局』と今の将棋ソフトを対戦させてみたらどうなのよ?」とちょっと思ったので対戦させてみました。
まあ、結果は見え見えでしたが(笑)

使用したソフトは「Bonanza」です。

 「Bonanza - The Computer Shogi Program」 http://www.geocities.jp/bonanza_shogi/

清水市代女流王将と対戦した「あから2010」は4つの将棋プログラムの合議制という形を取っており、その内の1つにBonanzaが有ります。また、2012年に米長邦雄永世棋聖(故人)を打ち負かした「ボンクラーズ」というソフトは「Bonanza」を並列処理させているそうです。

詳細はその道の方に譲りたいと思いますが、たまたま筆者が「Bonanza」の名前を知っていたのもあり、「将棋対局」と対戦させてみました。「Bonanza」はブログ記事執筆時点での最新バージョン(6.0)を使用しています。

方法としては「将棋対局」はPC-6001用のエミュレータ(PC-6001VW)を使用、「Bonanza」はDLLでの提供なので同梱されている「CSA将棋」を使用し、先手・後手を入れ替えて2局行なってみました。
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 01ゲーム画面

 1局目 

先手:「将棋対局」 後手:「Bonanza 6.0」

▲先手:将棋対局△後手:Bonanza 6.0
▲7六歩△3四歩
▲7七角△4四歩
▲7八金△3ニ銀
▲4八銀△4ニ飛
▲8八銀△6ニ玉
▲5八金△7ニ玉
▲2六歩△8ニ玉
▲2五歩△3三角
▲8六歩△9四歩
▲9八香△4三銀
▲9六歩△2ニ飛
▲7五歩△7ニ銀
▲9七香△2四歩
▲2四同歩△2四同飛
▲2四同飛△2四同角
▲6八角△2八飛打
▲7七銀△2九飛成
▲3九飛打△3九同竜
▲3九同銀△2九飛打
▲6九王△3九飛成
▲5九飛打△4九銀打
▲1八香△5八銀成
▲5八同王△4八金打
▲6九王△5九金
▲5九同角△5七角成
▲6六歩△5九竜
▲5九同王△4八角打
▲4九王△3九飛打





























まで、56手で「Bonanza」の勝ち。

28手目 △2四同飛
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 02先手:将棋対局-28手目後手2四飛

投了
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 03先手:将棋対局-56手目後手3九飛(投了)1
「将棋対局」は先手と後手を入れ替えて表示させる事が出来ないので逆になっています。
(エミュレータの画面回転機能を使えば出来ます。)
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 05先手:将棋対局-56手目後手3九飛(投了)3
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 04先手:将棋対局-56手目後手3九飛(投了)2

 2局目 

先手:「Bonanza 6.0」 後手:「将棋対局」

▲先手:Bonanza 6.0△後手:将棋対局
▲7六歩△3四歩
▲2六歩△3三角
▲3三角成△3三同桂
▲7八銀△3ニ金
▲4八銀△6ニ銀
▲6八王△2ニ銀
▲8八銀△5ニ金
▲7七銀△8四歩
▲3六歩△8五歩
▲4六歩△9四歩
▲4七銀△2四歩
▲3七桂△9五歩
▲5八金△2三金
▲1六歩△9三桂
▲1五歩△1四歩
▲1四同歩△1四同香
▲1四同香△1四同金
▲1九香打△1三金
▲1三香成△1三同銀
▲2三金打△1四銀
▲2四飛△1五銀
▲3三金△8六歩
▲8六同歩△4一玉
▲3ニ角打△5一玉
▲4三金△4三同金
▲4三同角成△5四歩
▲4ニ金打 




























まで、53手で「Bonanza」の勝ち。

37手目 ▲1三香成
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 06先手:Bonanza-37手目先手1三香成

投了
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 07先手:Bonanza_53手目先手4ニ金打(投了)1
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 07先手:Bonanza_53手目先手4ニ金打(投了)3
[TBL]将棋対局 / (2) Bonanza6と対戦させてみた 07先手:Bonanza_53手目先手4ニ金打(投了)2

1局目・2局目どちらとも「Bonanza」の圧倒的勝利となりました。平手指しですから当たり前ではあるんですが。「将棋対局」の指し手は素人の私から見ても疑問を感じてしまう手を指すことがありますね。

[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介

[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 パッケージ表面[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 タイトル画面

今でこそ多種多様あるコンピュータ将棋。PC-6001用としてはこれの他に「飛車」(キャリーラボ)の2本が市販ソフトとして発売されています。雑誌「I/O」に掲載された物を市販ソフト化した物です。

機種: PC-6001(32K) / mkII / mkIISR / PC-6601 / SR
開発: 黒崎 隆
販売: 株式会社コムパック
発売年: 1983年(取扱説明書の奥付には「昭和58年9月25日 初版発行」と記載)
定価: テープ版 3,000円
メディア: カセットテープ 1本組
付属品: 取扱説明書


 コンピュータが思考して駒を動かす、いわゆるコンピュータと対戦するパソコン上で動く将棋ゲームとしては一番最初の物であるようです。工学社のパソコン雑誌「I/O」の1983年9月号にこのゲームの記事・プログラムソースが掲載されています。開発したのは黒崎 隆さんという方で、I/Oの記事を見た感じだとたぶん相当将棋をやっている方なのでは?という印象を受けました。

 同じ「I/O」の1982年5月号に「マイコン将棋盤」(作者:大角宗久さん)というのが載っており、そちらは人間対人間が画面を見て対局するという類のプログラムで、これに刺激を受けて開発された物と思われます。ちなみに、「I/O」別冊の「マイコンゲームの本 4」には「高速将棋盤」というのが掲載されているようです。

 今日の将棋ソフトとなると、盤上のカーソルをマウスやコントローラーで動かして動かす駒を決定し、更に動かす場所を決定するというのが普通のインターフェイスかと思われますが、この「将棋対局」は盤上を座標で表し、「動かす駒の座標+どこへ動かすかの座標」を入力するというのが基本になっています。また、敵陣に入った時に成る場合(「歩」→「と金」など)は、接尾語として「n」を付けたり、持ち駒を打つ場合は「各駒を示す略称+座標」と入力して駒を打つという形になっています。
 例を上げてみると…
 (1) 7七の歩を7六に移動させる(棋譜では 7六歩 ) → 7776
 (2) 2八の飛車を2五に移動させる(棋譜では 2五飛 ) → 2825
 (3) 5五にいる角が8ニにいる飛車を取って、そのまま成る(棋譜では 8ニ角成 ) → 5582n
 (4) 3四に持ち駒の桂馬を打つ(棋譜では 3四桂打 ) → ke34 ※ ke は桂馬を示す略称

 などとなります。駒を移動させるのに、盤上の座標を見ていちいち入力していかなければならないので、面倒な印象を受けます。

 開発は「EXAS BASIC コンパイラ」を利用しており実行速度は早いです。一番の問題となるコンピューターの思考ルーチンは「I/O」の記事を読むと、一手先しか読んでいないようです。記事から引用すると「局面の評価の方法は、自分の駒の安定度と自分の玉(編注:駒の間違い?)のまわりにどれだけ敵の駒が効いているかということで決定しています。」と書いてあります。つまり、盤上の駒のそれぞれの「安定度」というものを計算し、それらを評価して「次の一手」を探し出すという手順であるようです。その方法のせいなのか、特に終盤になると「なぜその駒を取りに行く?」と疑問の付く手を指す事が多くなる傾向にあります。

 筆者本人は将棋は少し分かるのですが、数回対局してみた限り「将棋対局」はそんなに強くありません。定跡を知っていれば大体勝てると思います。駒の動かし方を覚えた小学生が相手がするのにちょうどいいのかな?と感じました。まあやる小学生はいないと思いますが(笑)

 コンピュータ将棋自体は1970年代から研究されているようですが、この記事を書いている2013年1月26日現在、2010年には清水市代女流棋士を破った「あから2010」や、2012年には米長邦雄永世棋聖(故人)を破った「ボンクラーズ」といったソフトが現れ、「将棋対局」から30年経った現在の理論や技術の向上は凄まじいものがあると言えます。

 筆者は小学校4年生の頃に将棋を覚えましたが、当時コンピュータで将棋を指すという事に興味が無く、Windowsの時代になって「AI将棋」を暇つぶしにする程度で、このソフトも入手したのは最近です。「飛車」もこの記事執筆の時点では未入手。
 それとは別に余談ですが「将棋対局」に関してウェブを検索している時に見つけた情報で、雑誌「月刊マイコン」1985年5月号に「指将棋プログラム・レート1205」(PC-6001mkII以降用)という将棋プログラムの記事が載っています。作者及び記事執筆は笠本正典さんで、コンピュータの思考方法―特に評価関数や駒の価値に関していろいろと書かれています。笠本氏はこの界隈では有名な方のようで、ラッセル社「PCマガジン」1989年5月号にも記事があるようです。

 ゲーム画面 

[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 ゲーム開始対局開始。先手は人間。
[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 ゲーム画面1先手が棒銀を目指している一方で、後手のコンピュータ側が角を取って成る。
[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 ゲーム画面2相手の飛車を取って、相手陣地を攻めている場面。
[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 ゲーム画面3先手2四銀打で詰み。
[TBL]将棋対局 / (1) ゲーム紹介 ゲーム終了ゲーム終了。75手で勝ち。


(2)に続く。

ブログを書くにあたって、各雑誌の記事を見せていただいた しおんパパさん・のりさん ありがとうございました!
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昔を振り返る
その昔、PC-6001やPC-6601という名のパソコンが有りました。そのパソコン向けのゲームソフト等を紹介しています。
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